日本最大級の結婚相談所をネットワークする、東証1部上場企業IBJを徹底解剖

ibj・結婚相談所連盟

IBJという婚活領域におけるリーディングカンパニーをご存知だろうか。晩婚化・未婚化が進んでいる中で、急成長中の結婚相談所を主に展開しており、その収益力も非常に高い優良企業である。M&AやFC展開も積極的に行っており、ロイヤリティ不要で粗利率もなんと90%以上ということで、加盟店も増え続けている。

そこで今回は同社のビジネスモデルや成長を続けている要因、競合優位性、フランチャイズビジネスの内容を深掘することで、新たな事業アイデアやFC・代理店としての事業をお探しの方に役に立つ情報をお伝えできればと思う。

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IBJとは

株式会社IBJ(旧ブライダルネット)は現代表であり創業者の石坂茂氏が2006年に設立し、婚活支援をメインとした事業を展開しており、2019年12月期の連結売上高は約152億(前期比+29.3%)、営業利益約23億(前期比+58.4%)、社員数1,055名(2020年7月)の会社である。

石坂氏は東京大学経済学部を卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行し、興銀が第一勧業銀行、富士銀行との経営統合をするタイミングで起業をした。興銀OBの多くが外資系金融機関、投資ファンドなど、金融の世界に進んだ中で、石坂氏は仕入れや在庫と無縁のビジネスであるという理由から、IT領域でかつまだ先駆者的存在がいなかった結婚領域を選んだ。

サービス事業としては、婚活事業とライフデザイン事業の大きく2つに分かれている。更にそれぞれの事業の中に、直営結婚相談所、FC開業支援事業や旅行事業、不動産・住宅ローン事業などがある。

直近の業績

参照元:IBJコーポレートサイト

参照元:2020年12月期第3四半期決算説明資料

直近の業績は、上の図の通り連結売上高は約95億(前期比83.1%)、営業利益約11億(前期比64%)で若干数字が落ち込んだ。そこまで大きな影響は受けていないものの、婚活パーティーや合コンサービス、旅行事業などはやはりコロナの影響があり、その他事業に関しては堅調に成長している状況である。

ただ、9月に関してはパーティー参加者の人数もコロナ前(2月比)の 約8割まで回復し、土日の参加者数は予想を大幅超えている状況。

セグメント別売上・利益


参照元:2020年12月期第3四半期決算説明資料

婚活事業については、売上高約80億(前期比+1.4%)、営業利益約2.2億(前期比−23.8%)であり、全体売上高に占める割合も約84%とかなりの割合。ライフデザイン事業については、売上高が約15億(前期比−57.0%)、営業利益−1億で、ここについてはコロナの影響で入国制限措置等が緩和せず、旅行事業に大きな影響があった形である。

具体的な事業内容とビジネスモデル

参照元:2019年12月期有価証券報告書

先ほど簡単にご紹介したように、同社には大きく以下2つの事業があり、ここでは具体的に各事業のサービス内容とビジネスモデルをみていく。

婚活事業

参照元:2019年12月期通期決算説明資料

婚活事業では、直営と加盟店を組み合わせた主に婚活相談所の運営を行っている。2019年12月期決算時点で、直営モデルでは約6,000名の会員を抱え、毎月450-500人が新規に入会があるとのことで、かなりの数ではないだろうか。その導線になっているのがアプリ事業やパーティー事業の「ブライダルネット」や「PARTY☆PARTY」だ。

参照元:2020年12月期第3四半期決算説明資料

同事業の収益モデルは、①月会費課金者数 × 月会費(上記プランによって異なる)、②成婚料(成婚時に発生)である。わかりやすく、結婚をしたい方をより多く集客し、出来るだけ多くの方を成婚に導くことで収益がより大きくなる仕組みだ。

資料によると、会員数6,041名(2020年3Q時点)、会員一人当たりのLTV約50万円、会員の平均活動期間1.5年、成婚率50.8%という数字だ。

参照元:2020年12月期第3四半期決算説明資料

開業支援事業や加盟店事業では、同社のフランチャイズ加盟店事業者を個人・法人問わずに開拓を進め、加盟店になった事業者に対して、自社のお見合いシステムの提供やパーティー、相談ラウンジなどの運営ノウハウ、サポートサービスを提供している。

約9ヶ月で新規加盟店が250程増えており、このコロナをきっかけに更に加盟店が増えている。在庫や店舗といった固定費をかけずに、在宅・テレワークでの自宅開業や副業という形で1人でも開業可能で、粗利率90%以上の高利益ビジネスであることは数あるフランチャイズビジネスにおいても非常に魅力的であると感じる。

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ライフデザイン事業

参照元:2020年12月期第3四半期決算説明資料

ライフデザイン事業では、主に婚活事業で会員になった顧客に、結婚後に必要になるようなウエディングやハネムーン、保険、住宅などのサービスを提案できるよう、婚活事業から送客する形をとっている。収益モデルとしては、送客あるいはそこで成約になった件数に対して一定の手数料をもらう構造だ。

特徴と優位性

同社の特徴、優位性に関しては以下3つをそれぞれみていきたい。

・「システム × ヒト」のビジネスモデルが支える強固なポジション
・事業の成功確率を高める圧倒的な会員基盤
・加盟相談所へのフォローアップ体制

「システム × ヒト」のビジネスモデルが支える強固なポジション

日本最大の会員ネットワークと入会から成婚までフルサポートできるシステムを有しながら、これまでの培った成婚メソッドとプロ仲人のネットワークも有しており、圧倒的なリーチ力と人力によるサポート体制により、高い成婚率が見込めるポジションを確率している。

事業の成功確率を高める圧倒的な会員基盤

パーティーやお見合いなど常に約10万名が稼働している6,041名(2020年3Q時点)の会員基盤を活用し、ライフデザイン事業を始めとした今後の様々な新事業の展開を拡げることが可能である。単に登録しているだけの会員ではなく、常に稼働している会員基盤があることが、バランスシートには表れない同社の優れた顧客資産だろう。

加盟相談所へのフォローアップ体制

先ほどお伝えしたように、同社の新規FC加盟店は順調に増えており、ビジネスモデルや加盟店の条件以外にも、同社が2007年以来事業運営をする中で得た、結婚相談所ビジネス成功のためのノウハウを提供している。

具体的には、交際中のメールを送るタイミングからプロポーズのタイミングまで、集客、対面営業(入会)、入会者へのオリエンテーション、お見合いから成婚実現の各局面での様々な手法がある。

その中で効果の高かったもののみをメソッド(方法・方式)として集約し、加盟相談所に提供している。マニュアルではなく成功メソッドであるため、加盟相談所は結婚相談所ビジネスの成功の道を最短で進むことが出来るのだ。

今後の成長戦略

参照元:結婚相談所連盟公式HP

婚活ビジネスの市場規模は約1兆円と言われており、同社の開拓余地はまだまだある状況である。また、菅政権発足により少子化対策への改革や不妊治療の保険適用など外的要因のチャンスもありこれまで以上に婚活需要増の期待がある。

そこで、同社の強みであるプロ仲人の更なる育成に力を入れ、お見合い件数、真剣交際数を高めるべく、代表自らスタッフと1on1のロープレを行い、スキル向上に尽力する計画だ。また、直近子会社化したツヴァイの全国にある50店舗をフルリニューアルし、地方自治体からの婚活パーティー受託や連携協定を締結し、婚活支援で地方創生を図る。

更に、オンライン・FC店舗を駆使して地方へ新拠点を拡大し、グループ会社化で増えた地方会員の成婚後に、ライフデザイン事業へ送客することで送客エリアを全国区まで拡げる予定だ。

総括

冒頭申し上げた、晩婚化・未婚化と言われている中で、実は恋愛はめんどうだがいずれ結婚はするつもりであるという若者が圧倒的に多く、同社の社会的意義や事業ポテンシャルは非常に大きいと感じた。

特にコロナ環境下で既存事業が立ち行かなくなり、新たな事業を0からではなくフランチャイズという形で立ち上げる事業者も多く、そのFC事業の選択肢としては個人的に非常に魅力的だと感じた。

このビジネス領域に一定の意義を感じられる方であれば、一度フランチャイズ事業としての加盟を検討しても良いかもしれない。

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