Makuake(マクアケ)の仕組み、手数料、ビジネスモデル、商品などを徹底解剖
コロナをきかっけに多くの注目を集めている、クラウドファンディング。その中でも、購入型のクラウドファンディングの仕組みで急成長しているMakuake(マクアケ)というサービスがある。
テレビCMなどの広告などでご存知の方も多くいらっしゃるのではないだろうか。ただその仕組みや収益モデル、具体的な事業内容などは分かりづらい部分もあるため、今回はMakuake(マクアケ)のビジネスモデルや競合優位性などについて読み解いていきたい。
目次
Makuake(マクアケ)の仕組みとは?
Makuakeは、2013年にサイバーエージェントの社内新規事業として、現代表の中山、取締役の坊垣、木内の3人の共同創業で株式会社サイバーエージェント・クラウドファンデイングという会社名で設立した。2017年に現在の社名である株式会社マクアケに社名変更を行っている。
「Makuake」は、新しいアイデアや優れた技術等を用いた新商品又は新サービスの実現及び加速を希望する企業や個人(プロジェクト実行者)と、そのプロジェクトを応援購入する複数の個人等(プロジェクトサポーター)とを、インターネット上でマッチングするプラットフォームサービスである。
マクアケ 直近の業績
直近、2021年9月期第2四半期決算で、2Q通期の業績でGMV(流通総額)約98億(前年同期比+105.3%)、売上高21億(前年同期比+87.2%)、営業利益6,300万(前年同期比−73.6%)となっている。
TVCMへの投資により営業利益は一時的にマイナスになっているものの、GMVは年々同期比で2倍以上の成長をするなど高い成長率で推移している。
単Qでの各主要指標における数値も上の図の通り、全ての指標がプラス成長をしており、中でも掲載開始数が2倍規模まで伸長し、大きな成長を遂げている。
マクアケのコスト構造
同社のコスト構造については、上の図の通りで基本的にはプラットフォームの運営をしており、集まった応援購入金額に対して手数料が発生する仕組みとなっているため、高い粗利率を維持できる。ちなみに、手数料は集まった金額の20%(決済手数料5%を含む)。
コスト負担として大きいものは、販管費にあたる「人件費」、「回収手数料」、「広告宣伝費」であり、2Qの広告宣伝費に関しては約8.6億円を計上しており、TVCMなどの影響が大きいと考えられる。
マクアケ ビジネスモデルと具体的な事業内容
同社の事業は、上の図の通り基本的には応援購入サービス事業の単一セグメントであるが、①Makuake②Makuake incubation studio③その他の3つのサービスにより構成されている。
以下、それぞれの事業内容について詳しくみていきたい。
Makuake事業
「Makuake」は、プロジェクト実行者が予め設定した応援購入金額に応じたリターンを目的としてプロジェクトサーポーターが応援購入を行う仕組みであり、同社はプロジェクト実行者へ応援購入金額の提供が決定した場合に、集まった金額の20%(決済手数料5%を含む)を手数料としてもらう形だ。
そのため、消費ものとしては新製品・新サービスの予約購入サービスの側面がある一方で、事業者側からすると直接消費者やバイヤーの反応がわかるため、持ち出しコストが少なく従来のマーケティングに比べて効果的なマーケティングを実施することができる。
応援購入金額提供の決定方式には、以下2つの方式があるが、ほとんど9割程度は①AII-in方式を採用している。
①AII-in方式:プロジェクト掲載の終了期日までに集められた応援金額がプロジェクト実行者に提供される(応援購入金額が目標額に達していない場合を含む)
②AII or Nothing方式:応援購入金額が設定された目標額に達した場合にのみプロジェクト実行者に提供される
また、同社サービスは当初より「ものづくり」領域に注力してきたこともあり、掲載されているプロジェクトの内訳としてはプロダクト系(各種新製品の開発等)分野が多く、その他ファッション、レストランと続く形だ。
Makuake incubation studio事業
Makuake(マクアケ)を出口に、企業などの研究開発技術を起点にした製品・サービス開発サポートを行い、Makuakeの運営を通じて蓄積してきた顧客データやマーケティングノウハウなどを活用することで事業化まで伴走するというものだ。
全体の売上構成に占める割合としては、およそ1割程度のため金額的なインパクトはそこまで大きくないが、比較的大手企業とのプロジェクトが多く、この事業を起点に他サービスへの展開も考えられる。
その他
その他事業については、先の2つの事業にも連動する内容で、「広告配信代行」「Makuakeストア」「Makuake SHOP」「販路紹介」など、プロデュース(Makuake incubation studio)をして、デビュー(Makuake)をして、その後のグロースの役割を担うイメージだ。
マクアケ 特徴と優位性
ここでは、同社の特徴と強みについてみていきたい。
独自のポジショニング
同社は、0次流通市場での先行販売モデルを確立し、従来のECマーケットプレイスやクラウドファンディとは異なるポジションを取り、最初の顧客獲得を目的とする売買市場と位置付けている。
複数ある同社の強みが組み合わさることで、1次流通前の新商品を次々と世に送り出すというこれまでに実現できなかったサービスを展開することが可能になった。
キュレーターによるコンサルティング
全プロジェクトにおいて、同社にはキュレーターというコンサルティングを行う担当者が付き、プロジェクトページの魅力最大化や応援購入金額の最大化に向けた様々なサポートを行っている。
マクアケ 集客力
PRTIMESやSmartNewsなどとの提携もあり、ニュースメディアでのプロジェクト掲載記事数が月間平均1万以上となる仕組みに加え、既存ユーザーのリテンションを高めるための広告配信やCRM施策などにより高いリピート率を維持している。
上の図の通り、直近リピート率は75%を超えており、その他詳細なプロジェクトサポーターの特徴に関してもデータとして収集しているため、様々な施策に生かすことが可能となっている。
マクアケ 今後の成長戦略
同社の今後の成長戦略としては、ブラウザではなくアプリユーザーのアクセス数を増やすことでGMVの拡大を図る計画がある。アプリの利用を促進することで、ユーザー一人当たりの利用頻度を上げ、新商品のメディアとしての定着を進める。
上記に加えて、ユーザー満足度の向上のための開発を進め、リピート応援購入層の積み上げに注力していくようだ。
総括|購入型クラウドファンディングMakuake(マクアケ)の仕組み、手数料、ビジネスモデル、商品などを徹底解剖
事業立ち上げ当初は散々な状況だったとメディアでも報じられていたが、消費者の嗜好の流れやコロナによるオンライン購買活動の流れもあり、ここ数年は非常に高い成長を感じた。
ただ、直近の株価は下落傾向にあり、様々な懸念事項も取り上げられている中、これまで通りの成長を維持できるのか、今後の同社の動きに注目したい。